利用者の操作性に配慮したPECS対応の専用アプリを開発
「びっくりドンキー」など多業態のレストラン事業を展開する株式会社アレフは、自閉症のお客様に対応するため、接客オペレーションに「PECS(絵カード交換式のコミュニケーションシステム)」を試験導入しましたが、専用ツールは運用面での課題も多く、さらなる利便性の向上が求められました。
当社はこれらの課題の解決に向けて、運用面でのストレスを改善したPECS対応アプリを提案しました。
お客様の課題
言葉ではうまく考えを伝えることができない自閉症の方やコミュニケーションが難しい方の買い物や外出が出来る様、絵カードを使って意思疎通を図る仕組みとして開発された「PECS」。自閉症の方は目で見る情報の方が耳から聞く情報よりも認識しやすいため、コミュニケーションがより図りやすくなりますが、現在使用している磁石を用いたPECSカードは設置スペースの確保や持ち運びに不便な点、パーツの紛失など管理運用における課題がありました。
また、専用ツールの製作に手間やコストがかかり、メニュー表の量産化やメニュー表の変更にすぐに対応できなといった点にも改善の余地がありました。
ご提案の内容
利用者の操作性に配慮したPECS対応の専用アプリを開発
関係者による支援の考えをお伺いし、システム関係者の考えも自閉症の方やコミュニケーションが難しい方でも普段タブレットを用いた生活をしていることがポイントとなり、ボードと磁石を用いた「PECS」のスタイルを電子化「PECSアプリ」の開発を提案する流れとなりました。「PECS」のようなカード形式を採用したアプリは、分かりやすいメニューボタンを選択していくだけで一連の操作が完了します。
また、クラウドを利用したシステム構成には、Webアプリケーションの防御対策に有効な「WAF(WebApplicationFirewall)」を導入し、セキュリティにも配慮しました。
導入効果
「PECSアプリ」によって設置スペースや持ち運び等の管理運用面での課題の解決も図られ、接客オペレーションにおける店舗側のストレスを大幅に改善。また、メニューなどの改修作業は1つのシステムから各店舗に配信されるため、ツール製作等の時間削減に加え、利用拡大の際のコスト負担抑制などにも効果が期待されます。
今後、導入店舗の拡大が計画されていますが、実際に自閉症の方や支援者に利用して頂く中で分かった想定外の使用方法や多店舗展開に必須となるメニューのデータベースの構築、管理など、当社としても利用者の視点に立ち、より使いやすいアプリを提供できるようにシステムの改善を図っていきたいと考えています。
お客様の声
【PECSアプリを利用したお客様の声】
自立的に注文できて、外食が楽しめる暮らし…その当たり前ができない少数派の人達のために、開発費をかけて、大手チェーン店初の試みを始めようとしていることはすごいと思います。こういう企業があることに、家族だけで息子を支えなくても大丈夫になる日が来るような、そんな期待を感じました。
私と同じ想いを持つ、家族や支援者のためにも、この導入が進み、他の企業や社会に広がるきっかけになってほしいと強く思いました。
企業情報

株式会社アレフ
設立:1968年 12月(昭和43年)
従業員規模:1001~名
事業内容:食と安全・安心を、自然と農業と環境から。びっくりドンキー本部です。